ezohikiの日記

道内五拠点生活

つれづれなるままにヒグラシ~道内セミ事情

8月半ば、管内でも災害事象(20㎜/h又は80㎜/24h)を越える雨が観測されました。H15に日高を襲った台風10号の様な激甚がなければ良いのですが‥

雲が途切れると日中まだ夏の匂いが残っていて、周囲の森でセミが鳴いています。全道的にスタンダードなコエゾゼミです。

静内川左岸では何故かアブラゼミが局地的に発生してるエリアがありました。

道内のセミは南西部へ行く程、種類が豊富になります。

ミーンミンミン‥松前にて

ヒグラシ(蜩)は主に道南の一部に生息していますが、多くの道民には馴染みが薄く、あの涼やかな声もドラマの効果音としてはピンと来ないかもしれません。

 

朝まだき 蜩の声 夢のうち(作者不詳)

 

ヒグラシ(S59-60)

私が松前に住みたいと思った理由の9割は「夏の朝夕、蜩を鑑賞したいから」と言っても過言ではありません。

函館では昭和の頃、エゾゼミが主流でした。が、いつの間にアブラが取って代わり、希少だったミンミンやニイニイも今では普通に聴かれます。

セミの分布の変化は単純に温暖化だけが要因でないと思いますが、現在の北限はどうなっているのでしょう?

南方系のセミに関して、私が鳴き声を聴いた最北の地↓

美唄に昔からある謎の看板
旭川までの新幹線延伸を要望?仮にミニ規格で実現したとしても、スーパーホワイトアローみたく美唄を通過するのでは?)

もっと北での情報がありましたらお寄せ下さい。

なお、このセミたちは道東に進出しておらず、十勝ではコエゾとエゾチッチばかりだったと記憶しています。

 

南方系のセミのルーツについて考察‥

釧路管内屈斜路湖にある和琴半島には、温泉熱で氷期を生き延びたとされるミンミンの亜種ワコトミンミンがいます。この亜種は現代でも分布を拡げてないことから、ミンミンは道東の気候に適応できないと考えられます。すると、氷期に道東並みに気温が低下した北海道南端でも生き残れなかったのではないでしょうか?

つまり、これらのセミは樹木に随伴し内地から移入したと思われます。

エゾシカとオオハンゴンソウ

夜、窓を開けてると肌寒く感じる季節になってきました。

あんなに賑やかだったアマガエルたちも三々五々?林へ帰ってゆき、聴こえてくるのはカンタンやエゾエンマコオロギ。道央や道北の日本海側に多いチョウセンキリギリスはほぼ見かけません。

廃線跡にて エゾシカの母子とオオハンゴンソウ

最近よくエゾシカに出くわします。

退勤し通用門を出ると母子鹿が走り去って行きました。

元来そこらじゅうにいる鹿ですが、どうも人間との距離が近くなり過ぎるのが気になるところです。

車との接触事故も頻繁に発生します。

速度が70㎞/hrを越すとロードキルの頻度が上がる、と聴いたことがあります。自然界ではそれ以上で動く物体というのを想定してないせいでしょうか。そういう意味で法定速度というのは妥当な数値なのかもしれませんね。♪ゆっくり走ろう北海道

放牧地でも、侵入した鹿の群れが馬の群れと一緒に草を食んでいる、なんて光景は日常茶飯事です。もっとも採草しない草地においては馬屋さんも別段、気にしてない様子ですが‥

これが飼料畑や一般畑だったりすると、被害は深刻です。いくら防鹿柵を整備しても、囲っていないエリアへ移動して食害を加えるので、生産者はたまったものでありません。

個体数調整のため狼を再導入しては、なんて突飛な案もあるようですが、現実的に難しい問題です。

♪見渡す限りのタンポポ、もといオオハンゴンソウの草原♪

特定外来生物に指定されているオオハンゴンソウですが、晩夏を告げる黄色い花は馴染み深いものです。

富良野を舞台としたドラマでも、百万本の薔薇の代わりにオオハンゴンソウを贈ってプロポーズ、なんてシーンがありました。

現場でこの植物が確認されると、法令に基づいて処理しなければなりません。刈取・鋤取物は枯死させてから搬出するのですが、その搬出先も一面花盛りだったりして、それって実際どうなの課?

ランの仲間ネジバナ 湿気った草原で咲きます

ニホンアマガエル分布の謎

八月、最初の水曜日から日曜日にかけて、カラッと秋の気配が漂いました。

日高沖の水温が徐々に上昇、海霧の発生もめっきり少なくなり鬱陶しさは解消されたものの、昼も夜も気温が20℃前後なのは相変わらずです。

先月末の妻からのメール「今こっち(旭川)来たら日高クンは干せちゃうよ」そりゃ気温差+10℃もあったら干せるどころかオジヤの上のバターみたく融けちゃいます。

ところが先日は「涼しくなって来たのでセンプーキ片付けた」ナヌ?いくら何でも早すぎ‥

旭川へ帰宅した夜、アチィアチィと窓を開けると「せっかく暑いのに涼しくしてどーするの?これだから日高クンは‥」と怒られます。そして閉め切った部屋で寝てる‥我慢大会か?

上川管内出身者はどうやらセミ並みに短くも暑い夏をトコトン味わい尽くす習性を有する模様。(諸説あります)

モクタチバナ葉隠れ中のアマガエル

先月から居着いたアマちゃん、やっとお目見えです。

秋が近づき空気が乾燥してくるとアマガエルは草原から湿気の残る林へ生息域を移すのですが、この子はベランダを林と見なしてくれた様です。定期的にジョーロで水もあたるし。

暖帯照葉樹林を再現。拾った種から育てた株も多く30年以上持ち歩いている鉢も。むせ返る様な暑さの中で咲くインド原産の夾竹桃、涼夏の浦河でよくぞ開花してくれました。

道内のアマガエルについては「稲作に随伴し内地から移入した」という説があり、私もそう思っていました。

畑地帯の十勝に赴任中、僅かに残された田んぼでしか見られなかったため、そこまで水田環境に依存した蛙ならばさもありなん、と。

ところが日高へ来てみると‥

ここも随分昔に水田転換された地方で、最寄りの田んぼまで10㎞以上あるにも関わらず、宿舎の近所そこらじゅうにいます。

調べてみると、元々水田のない根釧・宗谷やサハリン・シベリアにまで分布してるとのこと。寒さにもかなり強く、これは在来と考えて良さそうです。

北海道南端エリアの昆虫

前回に続き、道南編です。

本州から青函トンネルを抜けると渡島管内知内町。カキとニラとマコガレイ、最近は高校野球の強豪校でも知られています。

道端で見つけたシロスジコガネ

クロマツ林に発生、生息も道南に限られることから、クロマツと共に本州から移入した虫なのでしょう。

捕まえるとネズミの鳴き声の様な音を出します。

S12年の函館の様子を記した「昆虫放談」という本にも次の記述がありました。

 

砂山を歩いていたら 足元の砂の中から チューチューと鳴きながらとびあがるものがあった 捕まえてみたら コガネムシの一種であった この虫はネズコーの親類みたいに いつまでもチューチュー鳴いていた(小山内龍 著「昆虫放談」 ふるさとの人と自然 より)


更に南へ、路線バスで1時間半ほど下ると、最南端の松前に至ります。

曇天のためか、ヒグラシが盛んに鳴いています。道内では極めて局地的に分布するセミです。

ほかにもミンミンゼミやニイニイゼミの声が聞こえます。これら南方系のセミについては、改めて記事にしたいと思います。

 

松前には猫の額ほどの所有地があり、隠居後はここで庵を結び、庭や畑として整備したいと考えています。それまでは草刈等の維持管理が欠かせません。怠るとあっという間にオオイタドリやクズに被われ、ナミドクガの発生源になってしまいます。

目の前を金属光沢の眩しいアオカナブンが飛び去ります。

これも道南に多い昆虫です。カナブン類の幼虫にはクズの群落が不可欠とのこと。ドクガは嫌だけどアオカナブンにはいて欲しいと願うのは都合良すぎでしょうか?

フタモンアシナガバチ

旭川辺りではキボシアシナガバチが普通ですが、フタモンは道南にのみ分布します。

肉食系のキリギリス、ヤブキリです。

これも古い時代、樹木に随伴してきた昆虫でしょう。

道央でも見られるそうですが、定着してるかどうかは不明です。

ルーツが謎に包まれた、道南の生態系を構成する虫たち。

'22夏 帰省②

一昨年の札沼線区間の6割)、去年の日高本線(大部分)に続き、留萌本線もついに全線廃止とのニュースがありました。新幹線の並行在来線となる函館本線(山線)のバス転換も決まっており、道内の地方交通線はいよいよ限界まで達してしまった様です。

無理もありません。JRに勤めていた方から「JR北海道が1年かけて上げる収益は東日本の1日分にも満たない」という話を聞き愕然としたものの、人口密度や気象条件を考えると今まで良く頑張ったとしか言えません。

昭和の香りが残る五稜郭駅(旧亀田駅
父方の祖父は国鉄の車両技師として五稜郭機関区に勤務していました

私は鉄道マニアでないので、乗ったり撮ったりを目的とすることはありませんが、移動手段として好んで利用します。

前回・前々回の単身時は駅が利用可能な地域だったので、週末は旭川まで汽車を乗り継いで帰っていました。

妻は最近、美深の実家へ家業の手伝いに通っていますが、宗谷本線の特急をよく利用する様です。

微力ながらも道民として出来る限り「乗り支え」たいと思っています。

道南いさりび鉄道(R4.3月撮影)
元はローカルな江差線、トンネル開通で電化され快速・特急が通る大動脈(海峡線)に。新幹線の開業後はローカル線に逆戻りして民営化、再び気動車(≒キシャ)が走ります。

函館から松前方面へ、かつては国鉄松前線が直通してましたが、現在は木古内まで三セクの「いさ鉄」、その先は代替バスに乗り換え。片道100㎞、旭川~美深と同距離ですが特急も急行もありません。

【建有川寨門跡】
松前藩領と幕領との境界に設けられた関所

木古内でのバス待ちが1hあるので、知内との境まで海峡沿いに歩きました。

日高沿岸の冷風に比べると暖流からの風はやや生温く、エアコンでいえば「弱」または「送風」でしょうか。それでも風がある分、「照り焼き」の旭川や「蒸し焼き」の内地よりずっと過ごし易いです。

知内出身 演歌の大御所

'22夏 帰省①

これまで幾度となく転居を繰り返してきましたが、エアコンなる文明の利器を家に設置したことがありません。

東京にいた時も、貧乏学生にとってクーラーなど贅沢品。(そもそも昔ながらの下宿や厩舎=部室はスカスカなのでたぶん無意味‥)センプーキ回しても熱風が発生するだけ、という道民には信じ難い現象に、早々とUターンを決意したものです。

ともあれ、真夏日が多い旭川の自宅にもその類の機器はありません。

「センプーキの前が過密なんだけど」と妻からメール。あと1ケ月足らずの辛抱、どうせ2ケ月後には霜、3ケ月後には雪降るんだしガマンせい、なんてセンプーキすら要らない浦河から無責任に叱咤激励を飛ばします。

という訳で、暑そうな旭川への帰宅は先延ばし、先週は4連休にして函館へ帰省しました。

都市間高速バスで札幌まで4h、乗り継いで更に6h、日中ほぼ1日かけての移動です。

あれ?何かない‥ネムノキの根元にあったハチクの植え込みが消えています。

「1週間かけて除去したさ」と父。

近所に子供もいなくなったし、姪っ子(下)も卒業して3年経ち七夕の竹を小学校へ寄贈することもなくなったため、今年の7月7日をもって営業終了することにした、とのこと。

とりあえず残った地下茎からハチクをハチアゲしてみました

母に先立たれ、歳を重ねた父は些かセッカチになってきた様です。

終活と称し、あれこれ整理するのは良いのですが、墓じまいのことまで気にし出す始末‥いやいや、しまわれては困ります。将来、自分も入るんだから。

 

翌日は天気が不安定、競馬最終日の函館記念(GⅢ)も五稜郭の野外劇も土砂降りの中で行われた様です。

姪っ子(上)の誕生祝いも兼ねて夕食は近所の回転寿司へ。水産会社の経営なので鮮度は抜群です。17歳かぁ‥ワシら17歳の頃って何してたべ?なんて妹と話しながら‥

朝には雨も上がり、朝イチの汽車で松前へ向かいます。

古都にはアジサイがお似合い 松前にて

ネコにマタタビ

雑木林の林縁、いわゆるマント群落は藪が深くツル性の植物が繁茂し、毛虫なんかもいたりしてあまり近づきたくない場所ですが、野生の果樹も多く見られます。

道南や日胆地方でよく目にするマタタビもその一つです。

所々、葉っぱが白くなっているので、近縁のコクワ(サルナシ)と区分できますが、どちらもキウイフルーツ(チュウゴクサルナシ)の仲間で、美味しい実がなります。

旭川の庭にはコクワが植わさっており、毎秋たわわに「一口サイズのキウイ」が収穫できます。

マタタビには虫除けの成分が含まれているため、ネコ科の動物が好んで寄って来るという話は有名です。(コクワやキウイにも同じ様な効果があるらしい)

早速、乗馬施設の看板ネコに手土産として与えてみました。(ご機嫌とり)

前回は生の葉っぱを持っていったら、見向きもされませんでした。今回は少し陰干ししてみたところ、ご満悦の様子。

もう一匹、茶トラがいるのですが、こちらは興味を示しません。(嫌われてる訳ではない、と思う‥)

人間でもお酒好きな人とそうでない人がいる様に、個性があるのでしょう。

 

雨が降ったかと思えば止み、止んだら今度は蒸し暑く(20℃ですが)、二日後、仕事帰りに夕涼みのため海沿いをチャリで絵笛の方へ。カラフルなアオバトが海水を飲みに横切り、冷たい浜風が心地よく、下り坂人生サイコー!です。

こちらはコクワ。マタタビの仲間は♂♀があるので、花または実がないとどちらか分かりません。

ヤマブドウ。これも♂♀に分かれます。

山の畑の桑の実を‥これは野生種のヤマグワ。実(マルベリー)は小さすぎて食った気がしません。

海浜に多いアキグミ。実は生食には向かないそうです。

同じく砂浜にはびこるナワシロイチゴラズベリーの一種です。

 

今回は野生の果樹でまとめてみました。

下り坂があれば当然、上り坂も‥結局、汗だくです。

日高より暑いところでの夏越しはもう無理、お次の行先は釧路か根室か‥