ezohikiの日記

道内五拠点生活

ミンミン考

近所のヤチダモでコエゾゼミが鳴いてます(旭川
今夏は市街地にコエゾが多いと感じます
森林性のため街中ではあまり聞かなかったのですが‥
河川敷や広い法面を好むチョウセンキリギリスも
住宅の小さな庭先のあちこちで鳴いてる‥何かの予兆?

今回は少々マニアックですが(いつもだってば)「道南に生息する南方系の動植物の多くは人為的な移入種では」という全くの素人の自説について、何とな~くアメダスデータを基にシミュレーションしてみました。

松前を基準に概ね緯度1°毎のアメダス地点
(なるべく日本海側)の年平均気温をプロット
トカラ列島中之島屋久島より低いのは
恐らく標高が原因

大学卒業前に関西を旅したとき宿の人から
「東京から来なはった?向こうは寒いやろ」
と言われたので「大して変わりません」
と答えたら嫌な顔されたっけ‥何でや?

まず、現在の気候と植生。

各月の平均気温から5℃を差し引いた値を累計したのが「暖かさ・寒さの指数」で、植生との相関を計るのに用いられます。平均で5℃を下回る月がなければ寒さの指数は0となります。

これを見ると道東・北の寒冷地と東京の中間が道南の松前の気候に相当します。道内での地域差に比べると太平洋ベルトの東西差など取るに足らない?

温暖化の進行と植物の北上速度には時間差が生じるため
実際にはもっと北で植栽しても育つと思われます

照葉樹の代表種タブノキ(H3調布で採取)
松前でも条件の良い場所なら露地植え可能かも
アボカドに近い仲間で果実は鳥が運ぶため
いずれ海峡を越えるでしょう

次に寒さで制約される照葉樹の分布について。

最終氷期には伊豆半島まで南下したらしいですが、現在の分布と対比すると氷期は今より5℃くらい気温が低かったと仮定できます。

街中にある旭川アメダスは温暖化が顕著で
植生が追いつかぬ間にセミ類がいち早く北上
リンゴやサクランボが栽培可能になったのも納得です
氷期を地熱で生き延びたワコトミンミン(天然記念物)
周囲より3℃高ければミンミンの生息可能域になりそう
氷期には3+5=8℃の地熱が加わってたということかな?

そして道内における南方系のセミの分布。

美深町民は「旭川の近く(99㎞)」と言い張りますが、桜前線だって塩狩峠を越えるのに幾日もかかります。このセミたちも石狩川水系に留まっている様です。現在の北限が針広混交林の出現ラインと重なって見えますが、ミンミンは広葉樹を好むのであながち間違いでないかも。(未確認ですが7/29妻から旭川でのミンミン情報あり。)

日高での分布はクビキリギス同様、独自ルートで入って来た可能性があります。

氷期松前半島を想像してみた!

氷期の日本列島だぶんこうだったんじゃないか説
参考文献「自然を守るとはどういうことか 守山弘 著」
「北海道の自然史 小野有五・五十嵐八枝子 著」

んで、氷期の道南はどうなん?ってとこですが、近い将来タブノキが生育できそうな勢いの松前でも5℃下げてみれば針広混交林に覆われた今の道東・北レベルの気候。そこで南方系の動植物が生存できたか?ということです。

例えば、現在サハリンにも分布するニホンアマガエルは生き残れたでしょう。疎らな広葉樹を頼りに踏み留まった昆虫も多かったと思います。しかしオオカマキリやヤブキリ、南方系のセミなどは新潟付近まで南下したブナに追従し氷期の道南には存在せず、縄文以降に何らかの手段で海峡を越えたと考えるのが自然です。

実は未だ行ったことのない屈斜路湖和琴半島

(7/16函館にて)
近所でニイニイが鳴いてましたが
見つけたのはアブラの脱け殻

(7/21浦河にて)
芋掘り中に直翅目の若齢幼虫が‥
時期的にたぶんクビキリギス