今回は少々マニアックですが(いつもだってば)「道南に生息する南方系の動植物の多くは人為的な移入種では」という全くの素人の自説について、何とな~くアメダスデータを基にシミュレーションしてみました。
まず、現在の気候と植生。
各月の平均気温から5℃を差し引いた値を累計したのが「暖かさ・寒さの指数」で、植生との相関を計るのに用いられます。平均で5℃を下回る月がなければ寒さの指数は0となります。
これを見ると道東・北の寒冷地と東京の中間が道南の松前の気候に相当します。道内での地域差に比べると太平洋ベルトの東西差など取るに足らない?
次に寒さで制約される照葉樹の分布について。
最終氷期には伊豆半島まで南下したらしいですが、現在の分布と対比すると氷期は今より5℃くらい気温が低かったと仮定できます。
そして道内における南方系のセミの分布。
美深町民は「旭川の近く(99㎞)」と言い張りますが、桜前線だって塩狩峠を越えるのに幾日もかかります。このセミたちも石狩川水系に留まっている様です。現在の北限が針広混交林の出現ラインと重なって見えますが、ミンミンは広葉樹を好むのであながち間違いでないかも。(未確認ですが7/29妻から旭川でのミンミン情報あり。)
日高での分布はクビキリギス同様、独自ルートで入って来た可能性があります。
んで、氷期の道南はどうなん?ってとこですが、近い将来タブノキが生育できそうな勢いの松前でも5℃下げてみれば針広混交林に覆われた今の道東・北レベルの気候。そこで南方系の動植物が生存できたか?ということです。
例えば、現在サハリンにも分布するニホンアマガエルは生き残れたでしょう。疎らな広葉樹を頼りに踏み留まった昆虫も多かったと思います。しかしオオカマキリやヤブキリ、南方系のセミなどは新潟付近まで南下したブナに追従し氷期の道南には存在せず、縄文以降に何らかの手段で海峡を越えたと考えるのが自然です。