子供の頃、図鑑の分布欄に「本州以南」と書かさってるのを見て羨ましく思っていました。きっと対岸には色んな動植物がゴマンといるのだろうと。
函館の街を抱くショッパイ河こと津軽海峡には生物の往来を隔てるブラキストンラインが存在しますが、本州はすぐそこ。距離的には学生時代に府中から眺めた新宿の摩天楼と同じくらいです。
カブトムシやクワガタの集まる木、クヌギも自生の北限は岩手あたりになります。
旧帝大の演習林だった府中のキャンパスには武蔵野の面影が残り、馬術部員が茹でられる大釜(3/31記事参照)の横に大きなクヌギがありました。
夜飼で宿直の時など、秋にはドングリが馬房の屋根を打ち♪お背戸に木の実の落ちる夜は‥童謡さながらの情景が思い出されます。
20年ほど前の厩舎移築に伴い伐採されたはずですが、ネット上で古い写真を見つけました。
小学生の時、生物教諭だった父に「クヌギってこの辺(函館)に植わさってないの?」と尋ねたことがあります。答は意外にも「あるよ」でした。
父が勤務してたメソジスト派のミッションスクールは東京より北で最古の女子高。宣教師館は文化財(旧アメリカ領事館※)になっており、明治期に津田梅子の妹3人が在籍していたほか、卒業生には多くの女優・歌手がいます。
鬱蒼とした歴史ある校庭に2本、クヌギがおがってました。
今も保存されてるか不明ですが、大人になった自分に確かめる術はありません‥不審者として通報されます‥
ともかく、道南の自然史はクリ・ブナなど古くからの国内外来種の存在があって成り立っているのです。
某小学校で「クリ」とラベリングされたクヌギを見つけたのは20年以上も前、随分おがりましたが結実は難しいようです。
※訂正(R4.11.6)
旧アメリカ領事館は現在の建物ではなく、前身の宣教師館でした。