国内外来樹クロマツの法面植生

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道南(渡島・檜山地方)から日胆(ニッタン=胆振・日高地方)の海岸線にはクロマツを含んだ植物群落が見られます。中でも襟裳岬の砂防林はNHKプロジェクトX」でも取り上げられ、上皇陛下も御在位中に御幸されています。

実はこの松、道内では国内外来種外来種を敵視してる方々は目クジラを立てて「切ってしまえ!」などと声高に叫ぶかもしれません。

でも私たちにとって身近な里山の自然や動植物って在来・外来が極めて曖昧なことをご存知でしょうか。

  • トトロでお馴染みのクスノキ(台湾原産)
  • 全国各地で銘木となっているイチョウ(中国原産)
  • 縄文文化が海峡を往来した証~道南のクリ

これらは全て外来ですが、どれも古くから風土と一体化した、いわゆる史前帰化と呼ばれる種です。渡島半島を北限とするブナでさえ、クリと同様に縄文人が食糧として持ち込んだという説があります。ちなみに海峡を挟んだ縄文文化世界遺産、ブナの北限林は天然記念物に指定されています。

クロマツ以外にも有史以降道内に移入された国内外来樹は‥

  • 藩政時代に最南端・松前に持ち込まれた暖地性樹木群
  • 道南各地で植栽されてるスギの造林地
  • 十勝の大平原を縁取るカラマツの耕地防風林 etc.

また、函館近郊では大河ドラマ 「青天を衝け」にも登場した箱館奉行・栗本鋤雲ゆかりのアカマツクロマツが街路樹として保全されています。これらは先人たちが残してくれた、歴史的・土木技術的・文化的に貴重な遺産と言えます。

この写真のクロマツ林では隣接する廃線跡バラストに実生が繁茂していますが、さすがに西岸海洋性気候に属する沿岸部から離れ、亜寒帯に属する内陸の原生林(日高山系)へ進出することはありません。やはり暖地性のマツです。